キハダ:黄肌 |
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標準和名 |
キハダ
(スズキ目サバ科マグロ属) |
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別名 |
キワダ |
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地方名 |
イトシビ(和歌山、高知、九州)
シビ・バン(大阪)
チューナガシビ(沖縄) |
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英名 |
Yellow-fin tuna
Albacore |
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学名 |
Thunnus alabacares (Bonnaterre) |
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解説 |
名前の由来は、ひれの古称を「はた」といったところから。名前の通り、背びれや腹びれが鮮やかな黄色をしている。また、体色も黄色みを帯びている。クロマグロの味が落ちる頃から、メバチとともに店頭を飾る。クロマグロやメバチと違い、肉の色はピンク色をしている事が多い。マグロ類の赤みは、ミオグロビンなどの色素蛋白を多く含むために赤身となっているが、この赤い筋肉は運動しつづけてもあまり疲れない、人間で言えばマラソンランナーに発達する筋肉である。マグロ類が外洋性の回遊魚になりえたのは、この赤筋の発達も一因となっている。キハダは外遊性の回遊魚ではあるが、クロマグロのような大規模な回遊は行わないようで、それゆえ筋肉もピンク色を呈していると考えられる。また、熱帯域を中心に生息しているキハダは、クロマグロに見られる体温を水温よりも高く維持するシステム(奇網)があまり発達していない。脂肪分が少ないのもこのあたりに起因しているのかもしれない。 |
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分布領域 |
太平洋、インド洋、大西洋の暖海や熱帯海域に広く分布し、太平洋やインド洋では赤道反流域に多い。地中海には分布しない。日本の各地沿岸にも夏に来遊するが、その量は多くない。キハダの系群構造はいまだ解明されておらず、世界的に単一な集団とする説から複数の系群に分かれるとする説までさまざまである。いずれにしろその資源構造はかなり複雑と考えられる。 |
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生鮮・加工法 |
近海での漁穫が多く、鮮魚としての出荷が殆どである。冷却保蔵されたままや鮮魚のまま陸揚げされる事が多い。また、空輸される場合、頭、尾、各ひれ、内臓を取り除き、保冷剤をつめて梱包、発送される。消費地市場での競りののち、冊にしてから小売店に売られる。店頭では刺身用に利用される事が多く、冊や人数分のパックに、中落ちの部分はぶつ切りにされて並ぶ。一部加工用に出荷され、角煮や節などの惣菜や煮物にしたり、缶詰などに加工される。オイル漬けのツナ缶詰の加工原料は殆どビンナガであるが、キハダも一部、シーチキンに使われ、欧米に向けての出荷もされている。 |
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主な食べ方 |
食べ頃は夏。特に名古屋を中心とした西日本やクロマグロが少ない夏場に、刺身としての人気が高い。肉は脂肪分が少ない。赤身だが、マグロ類の中で淡い方で色持ちもよい。刺身や鮨種に向いており、山かけ、酢味噌和えなどにもする。脂ののりが薄いため、照り焼きやねぎま鍋にはあまり向かない。また、缶詰のツナは、サラダなど洋風の色々な食材に利用できる。 |
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