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成分名
エネルギー 125kcal
水分 70.4g
タンパク質 26.4g
脂質 1.4g
灰分 1.7g


カルシウム 5mg
リン 270mg
1.1mg
ナトリウム 49mg
カリウム 380mg
マグネシウム 45mg
亜鉛 0.4mg



ビタミンA 166μg
ビタミンB1 0.1mg
ビタミンB2 0.05mg
ビタミンC 2mg
ビタミンD 5μg
コレステロール 50mg

※科学技術庁資源調査会編
「五訂 日本食品標準成分表」より転載
可食部100g当たりの値を示します
クロマグロ:黒鮪
標準和名 クロマグロ
(スズキ目サバ科マグロ属)
別名 マグロ
ホンマグロ
クロシビ
地方名 クロ(関東)
イモシビ(宮崎、愛媛)
※日本近海で育った若魚はメジ、ヨコワと呼ばれる。
英名 Blue-fin tuna
Black tuna
Albacore
学名 Thunnus Thynnus (Linnaeus)
解説
マグロというのは比較的新しい名称で、古くは「鮪(之比・志昆)」と呼ばれていた。鮪が「真黒」あるいは「目黒」と標記されるのは、江戸時代前期である。『本朝食鑑』には「鮪と呼ぶのは七、八尺以上のもの、四、五尺のものは真黒と呼び、ニ、三尺のものは目鹿、京大阪ではそれを真黒と呼ぶ」とある。なお、今でもクロマグロの若魚をメジ、メジマグロと呼ぶのはその名残であろう。鮪と日本人の歴史は古く、縄文時代から食べられていた事が貝塚の調査によって分かっている。ただし、食用にされた歴史は古いが、マグロが割と普通に食べられるようになったのは江戸時代の後期以降である。これは定置網漁が普及して、大量にしかも安価で出回るようになったことに関係している。また、マグロが「づけ」で食べられるようになった事も一因となっているようだ。自己消化の早い赤身魚であるマグロを醤油漬けにする事で、匂いを抑え、かつ保存性を高められるようになったからである。最も、づけにするのは赤身の部分である。脂肪分の多いとろがもてはやされるようになったのは、日本人の嗜好も変わってきた戦後になってからである。さて、本種はホンマグロとも呼ばれる最高級魚であり、肉質、脂肪分ののり具合とも、マグロ類中最上級である。部位によって味に大きな違いがある。刺身や鮨種として人気があり、値段も高いとろは腹身の部分で、部位や脂ののり具合によって大とろ、中とろ、とろと分けられる。獣脂とは異なるとろの脂には、独特の旨みが感じられる。づけにするのは背の赤肉の部分である。中落ちは、鉄火巻きにも使う。最近、スペインで産卵後のクロマグロを養殖したり、オーストラリアでミナミマグロの若魚が養殖されているが、このようなマグロでは脂がよくのっている。また、日本では養殖も行われ始めたが、養殖マグロでもとろの部分が多くなっている。最近の急速冷凍の技術の発達は、零下60℃での冷凍輸送を可能にした。その結果、世界中の海から漁獲されたクロマグロが日本へ運ばれてくるようになった。だが、一方でクロマグロ資源の枯渇も心配され、ワシントン条約によって貿易を禁止しようという動きもあった。事実、系群によっては、著しい減少率をみせている。地中海でクロマグロ漁が本格的に行われるようになったのはここ二十年弱の事であるが、現在の減少率では遠からず絶滅するという試算もある。現在いくつかの国際漁業委員会が設けられて、資源の調査と管理がなされているが、漁業の保護の為にも適切な管理が必須である事は、言をまたないであろう。
分布領域
世界の温帯域に分布する。太平洋や大西洋の北半球側に多く、南半球およびインド洋では稀。マグロ類の中ではもっとも高緯度域まで分布する。日本では北海以南各地の沿岸、沖合いに分布しており、日本海近海では北アメリカのカリフォルニア沿岸と共に太平洋では最も分布密度が高い海域となっている。日本近海産のクロマグロの幼魚は、生まれた年、または翌年の秋に太平洋を横断してカリフォルニア沿岸に到達し、2〜3年間滞留した後再び太平洋を横断して日本近海に戻り産卵行動に参加すると想像されている。成熟後は太平洋を横断する事はなく、夏期に北上、冬期に南下する季節的な南北回遊を行うようになる。
生鮮・加工法
ほとんど生食用に取り扱われる。氷冷・冷凍搬送され、市場や卸売りの段階で解凍、加工処理される。冷凍のものは船上でえら、各ひれ、尾、内臓を取り除き、大きいものは二つ、四つ割で運搬される。空輸する場合は経費削減のため頭も切り落とす。これは市場を経て、節から冊にして小売される。冷凍マグロを冊にする際、可食部位外はキャットフード、ミールなどにまわる。店頭では冊や人数分に造った刺身、ぶつ切りなどで並ぶ。また、最近は頭、目玉、頬肉なども人気が高く、調理してレトルトパックしたり、缶詰になっているものが小売店にも出回っている。
主な食べ方
冬が食べ頃だが、近海のものは若魚は夏から秋にかけてが旬。肉はマグロ類の中では一番暗黒色で赤身が濃く、脂肪分も多い。刺身やすし種として人気が高く、特に腹の脂身の部分は、大とろ、中とろとして品書きに欠かせない。中骨肉はスプーンでこそげとり、たたきにして浅葱といっしょに鮨種にする。また、これを丼にかけたり、お茶漬けにしてもよい。赤身は刺身や鮨種にするほか、ぶつ切りにしての山かけ、分葱やウド、季節の野菜を使ってぬたなどの酢味噌和えなどにする。脂肪の少ない赤身をアボカド、白ゴマ、青じそと一緒にのり巻きにしたものはとろのような味わいになり、「カリフォルニア巻き」と呼ばれている。そのほか、脂分に富んだ部分を照り焼きにしたり、筋の追い部分、刺身に向かない部分を角煮やねぎま鍋にする。ねぎま鍋にはぶつ切りにした身に熱湯をかけ、霜降りにしておく。鍋にだし、醤油、酒、みりん、塩を入れて煮立て、3p位にきったねぎとマグロを入れる。煮すぎないうちに食べる事。頭はホイル蒸し焼きに。目玉はホイル焼きやつけ焼き、鍋物に、頬肉はステーキにするとよい。なお、冷凍の冊を刺身にする時は、解凍方法がポイントとなる。凍ったままの冊を冷たい塩水につけて急速に解凍した後、外側をふきんで丹念に水気を取るとよい。

出展:株式会社エヌ・ティー・エス発行
   現代おさかな事典〜漁場から食卓まで〜

 

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