マガキ:真牡蠣・真蠣 |
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標準和名 |
マガキ
(二枚貝綱ウグイスガイ目イタボガキ科) |
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別名 |
カキ
ナガガキ・エゾガキ(貝殻が長大になるもの) |
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地方名 |
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英名 |
Pacific giant oyster
Japanese oyster |
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学名 |
Crassostrea gigas
(Thunberg) |
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解説 |
允恭天皇の御製に「夏草の阿比泥の浜の加岐加比に足踏ますな明かして通れ」がある。この加岐加比がカキのことで、岩に付着しているカキを掻いて獲るので、「掻き貝」といわれるという。また、漢字で「牡蠣(ほれい)」と書くのは、昔はカキには雄しかいないと考えられていたからだという説がある。カキは、欧米では「rのつかない月は食べるな」といわれる。これは、ヨーロッパで食用になるカキは5〜8月の間が産卵期で身が痩せていることと、気温が高いために腐りやすいからである。これはマガキにも通ずる。ただし、近縁種のイワガキ「岩牡蠣」は、「夏牡蠣」といって7〜8月が旬となっている。
魚介類をあまり利用しない欧米でもカキだけは例外で、栄養に富むカキは「海のミルク」と呼ばれ、ローマのシーザーもイギリスのカキが食べたくてイギリス征服を企てたという話しすらある。イギリスのカキは当時からよく知られており、ルイス・キャロルの童話「鏡の国のアリス」にも登場する。また、アメリカのニューヨークではセントラルステーション構内にあるオイスターバーが有名で、1人前を注文しても山程の生がきやフライが出てくる。
カキの殻は、焼いて貝灰にするほか、飼鳥用の牡蠣粉になる。焼いたカキの殻を粉状に砕いて水干したものは胡粉という。真っ白な日本画の顔料である。鹿の膠でよく練り上げ、水で適当な濃さに薄めて用いる。また、単に絵の具としてだけではなく、マチエールとして下地を盛り上げるときにも使われる。 |
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分布領域 |
樺太、沿海州、日本、朝鮮半島、中国の各沿岸に生息する。生息地域によって形態や生態、遺伝的特性に変異がある。一般に北方に生息するもののほうが大きくなる。 |
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生鮮・加工法 |
約50%が生鮮利用向けに出荷される。生食用のものは、剥き身を海水ごとパックしたものが多いが、最近では殻付きのまま活貝として出回る量も全体の2%に達するほど増えてきた。また、剥き身やカキフライ用などに下調理し、冷凍加工したものは40%ほどで、香港向けの輸出が8%、缶詰加工用には3%である。
カキの量産地、広島県、岩手県、大分県などでは、カキから抽出したカキエキスをオイスターソースなどの調味料や健康食品などに利用している。宮城県ではカキと味噌を練り合わせてかき味噌(調味加工品)を生産している。加工品ではないが、広島のお好み焼きは、注文によってカキを加える。貝殻は、小鳥用の健康餌料である牡蠣粉や養鶏用の配合飼料に混合されるほか、貝灰にされ肥料などに用いられる。 |
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主な食べ方 |
旬は12〜2月。生で食べるときは、酢、酢醤油、ぽん酢、レモンなどをかけて食べる。もみじおろしやタバスコで辛みを加えてもよい。日本ではこのほか、寄せ鍋や土手鍋にしたり、炊き込みご飯にしたりする。土手鍋は、味噌を鍋の縁に盛り、徐々に溶かしていく。炊き込みに使うカキは、酒、醤油で一煮立ちさせ、煮汁で炊いてから混ぜ込んだり、拍子木切りにした大根と一緒に塩味で最初から炊き込んでもよい。できあがりに大根の葉など青物を散らす。洋風には、フライ、グラタン、コキール、スープ、マリネなどにする。ホワイトソースがよく合う。酢やレモン汁などで酸味を加えても、甘味が引き締まり、旨みが増す。また、カキ特有のぬめり感が和らぐので食べやすくなる。オイスターソースは、魚介類を使った炒め物や煮物、スープなどの下味に使うと料理の味が引き立つ。 |
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