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クエ:九絵・垢穢
標準和名 クエ
(スズキ目ハタ科マハタ属)
別名  
地方名 キュウモドリ(和歌山)
アラ(九州)
アーラミーバイ・イノミーバイ(沖縄)
老成魚はモロコと呼ばれる。
英名 Kelp bass
Kelp grouper
Saladfish
学名 Epinephelus bruneus Bloch
解説
クエという名は、成魚に暗褐色の汚い模様があることから垢じみて汚れていることを意味する垢穢(クエ)と名付けられたという説や、クエの幼・若魚の体側には雲形の模様があることから名付けられたという説があるが定かではない。筆者が聞いた中で最も納得がいったのは、「うまいから食え(クエ)」から名付けられたという駄洒落で、疑いもなく間違いだろうが、この話のように肉は白身で非常に美味しい。ハタ類の中でも大型になる種類。100kg近いものが獲れるときもある。
クエの学名は1842年にTemminckとSchlegelによってEpinephelus moaraと命名され、最近までこの学名がもちいられてきたが、1991年にRandallとHeemstraが分類学的な再検討を加え、1793年にBlochによって報告されたEpinephelus Bruneusと異名同種であることがわかった。したがって本書では動物学名命名規約に従い、本種の学名にEpinephelus bruneus Blochを充てる。
分布領域
南日本、朝鮮半島南部から台湾を経て南シナ海まで。
生鮮・加工法
すべて鮮魚出荷される。高級魚で主に飲食店向けに取り扱われるが、産地以外の一般小売店での入荷量は少ない。釣りの好対象魚である。
主な食べ方
秋から冬にかけてが旬。白身で身は締まっており、歯ごたえがある。長崎の名物あら料理のあらとはクエのことで、フルコースが楽しめるほどさまざまな料理法に向く食材である。刺身にするときは、冊におろしたのち、少しねかせると肉質も軟らかくなり、旨みも増す。ちゃんこなどの鍋物にも欠かせない。焼いても煮付けても美味だが、揚げ物料理にも適している。ぶつ切りを唐揚げにしたものと野菜を一緒に炒めてあんを絡めるとボリュームのある一品になり、加える野菜やフルーツ、味付けによって中華風、洋風、南国風にと工夫できる。また、皮と肉身のあいだのゼラチン質も美味で、うろこを取って少し身をつけてそぎ、湯引きしてぽん酢などで食べるとよい。

出展:株式会社エヌ・ティー・エス発行
   現代おさかな事典〜漁場から食卓まで〜

 

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