カツオ:鰹 |
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標準和名 |
カツオ
(スズキ目サバ科カツオ属) |
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別名 |
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地方名 |
カツ(東北)
ホンガツオ(壱岐、玄海)
マガツオ(高知、九州)
スジ(下関、紀州) |
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英名 |
Skipjack
Bonito
Lesser tunny |
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学名 |
Katsuwonus pelamis (Linnaeus) |
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解説 |
太古に何と呼んでいたかは定かではないが、「カツオ」と呼ばれ始めたのは白河天皇(1053〜1129年)の頃からである。カツオは、平安時代にはすでに食用になっていたが、当時は庶民の食べ物であった。生鮮魚のカツオは腐りやすく、寄生虫が目立つなど、生で食べると毒にあたると思われていたため、もっぱら干し堅められたものを利用していた。後に仏教の教えが広まり、殺傷が禁止されたので、干し堅めたものを「木片」と偽って売買するようになり、これが後に「カタウオ」と呼ばれ「カツオ」となったという。もちろん、干し堅めればあたらずに食べられるということを知っていたがゆえの知恵である。刺身にして食べるようになったのは鎌倉時代以降のことで、消費者層も庶民から武士にまで広がった。江戸時代になると、高級食材に昇格している。
カツオの一本釣りではイワシを餌にするが、鉤に付けるわけではない。最初は餌のイワシの泳ぐ音に寄ってくるが、後は自分達の餌をとる音に興奮して、夢中で暴れているところを疑似鉤で釣るのが一般的である。
カツオの尾は硬く、尾びれの筋1本1本から楊枝がつくれるほどである。
「猫が肥えれば鰹節がやせる」、「鰹節を猫に預ける」など、猫と鰹節にかかわる諺も多く、古くから親しまれてきた魚であることがわかる。また、白飯に削り節をまぶしたものを「猫まんま」と呼ぶ。 |
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分布領域 |
赤道をはさんで北緯40度から南緯40度にかけた全世界の温・熱帯域に分布する。わが国では毎夏、北海道以南の太平洋岸各地や九州西岸に来遊する。生息域が広いためその回遊経路を把握することは難しいが、Matsumoto(1974・1975)は漁獲データをもとに太平洋に生息するカツオを七つのグループに分け、それぞれの回遊経路を推定している。
日本近海では、毎年早春に沖縄諸島や小笠原諸島などに出現し始め、ゴールデンウィーク前後に南日本一帯に見られるようになる。夏には黒潮にのって東北沿岸を北上して滞留した後、初秋に南下を開始し、晩秋には日本近海から去る。 |
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生鮮・加工法 |
竿釣りで漁獲されたものは、約半分が生食用に、鰹節用に3〜4割、残りの2〜4割が缶詰、生節、輸出用原料となる。冷凍の巻網漁獲物は、7割が鰹節用に、2割が缶詰加工用にまわされる。生食用には、生、冷凍で運搬され、丸ごと、半身、四半身で店頭に出る。スーパーや小売店頭ではたたきや惣菜に加工されて出ることも多い。遠洋の冷凍ものは、四つ割、八つ割、たたき、過熱処理用にサイコロ、ハンバーグ状にして流通されている。 |
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主な食べ方 |
「初ガツオ」は4〜6月が旬。7〜8月に三陸沖で獲れる「戻りガツオ」は脂がのっていて、夏から秋が食べ頃。遠洋冷凍ものは年間通して味がよいものがある。赤身でエキス分が多く、味は濃い。加熱するとかなり身が硬くなるので、熱いうちに食べるか、煮汁をよく煮含めるとよい。「戻りガツオ」は脂がのっていてマグロのとろに匹敵する。「初ガツオ」の生は、「たたき」にして食べる。腐りが早く、生臭みが出るので、おろしてあらや血合部分を取り除き冷しておく。「戻りガツオ」は脂がのっているので、刺身にしてわさび醤油で食べるのがよい。「たたき」は、好みで、生姜、にんにく、ねぎを薬味にして、ぽん酢などで食べる。照り焼き、味噌煮などは、生姜で生臭さを消すとよい。生節は酢の物にしたり、きゃらぶきや筍など季節の野菜と煮ると美味しい。味付きのものは、そのままで酢の物やサラダにするのもよい。鰹節は汁物、煮物、麺つゆのだしを取るのに重用する。また、酢の物、煮物のできあがりに少しかけて、あしらいにすると香りがよくなる。 |
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