親友のようなキッチングッズたち

 昔から料理は大好きです。ちょっとしたひと手間で、見た目はもちろん、食感や味覚も変わる魔法のようなところが料理にはありますよね。2年前に『絶品パイ料理‘‘パイの帝王’’が贈る80のレシピ』という本に出会ってからはパイづくりに夢中です。一時立て続けに自作のパイの写真をSNSにアップしたものだからフォロアーに驚かれたりしました。その後すぐに友人から高性能の石窯電子オーブンをいただいたことも手伝って、この本に載っているレシピも含めパイは20種類くらいチャレンジしたでしょうか。他の本だと工程が多すぎたり、用意する材料が特殊すぎたりして敷居の高かった「パテ・アンクルート」が、この本ではかなり簡単に作れました。パイ作りはアクセサリー作りとはまた手や体の動かし方が違って、楽しいですね。
 身に着けるもの、日々の道具、オブジェなどすべて、機能性よりビジュアル優先主義かもしれません。やはり多くの時間を過ごす家という空間では、気に入った物と一緒にいたいですね。偶然知り合ってそのあと次第に親友になっていくように、楽しい物、可愛い物、それぞれに愛しさを覚えます。自宅の台所をわたしは“コックピットキッチン”などと称しているのですが、食器や道具は、何歩か歩けば届くところ、少し手を伸ばせば届くところに見せ置きしています。しまい込むとどうしても使わなくなるので、把握できるところに置いてどれも愛用しています。
 魚介類の中でも貝やエビはよく食卓に登場するように思います。特にホタテは万能。1sくらい冷凍を買って少しずつ使うこともあります。チャーハンやカレーの具にしてもよし、さっと茹でてマリネやサラダにしてもよし。最近はブリを柵で買ってきてスライスし、ツマ代わりに水でさっと洗った干し大根を添えて一緒にいただくというある種の「ブリ大根」の美味しさに目覚め、度々夕食時にいただいています。

やまもとあゆみ◎アクセサリー作家、空間プロデューサー/証券関連会社に勤めながら、独学でアクセサリーの制作を始め、1999年にアクセサリーブランドmurderpollenを設立。植物、昆虫、動物などをモチーフにした1点もののアクセサリーを作成している。料理関係の取材も多く、おもてなしの食卓はビジュアルの美しさにも定評がある。  公式WEBサイト Instagram


撮影=ローラン麻奈 取材=澁川祐子
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