おせち料理に欠くことが出来ない「数の子」は、原料のニシンが北海道沿岸から姿を消して七十年が経とうとしている訳ですが、近年復活の兆しが見えております。十年ほど前から弊社では他社に先駆けて「国産塩数の子」の取り扱いを開始しており、関西、特に京都では高い評価を頂いております。お客様に国産数の子の美味しさを実体験していただきたい気持ちで、今回取り上げさせていただきました。
 国産数の子の特徴は、何と言って歯応えです。口に入れて、一口目の「ポリッ」、その後二口目、三口目の「ポリポリ」。私の表現力では書き表すことが出来ないような歯応えがあります。国産でも一般的には大きなサイズほど歯応えが素晴らしいとされております。また、海外産ではカナダ産が高価で歯応えがあると言われておりますが、やはり国産には独特の歯応えがあります。
 塩数の子の売上高構成比は、関西は関東の3倍近くになります。おせち料理を各家庭の味で作る比率自体が関西の方が遥かに高いですし、特に京都では顕著です。おばんざいで有名な京都では、秋になると、塩数の子から塩抜きして、各家庭の味付けで漬け込んで、食卓に乗り始めます。お正月前のこの時期には大きなサイズである必要がないので、小さいサイズや残念ながら加工時点で折れてしまったものとかを中心に提供して、今年の出来栄えを確認していただき、お重の中に入る商品のイメージを作り上げていただきます。関東のお客様にも、是非とも一度お試しいただきたいと思っております。
 弊社では、もともと国産塩数の子の販売に注力してきたのですが、国内産と外国産の価格が拮抗し、外国産数の子の製造が極端に減った3年前から国内産の販売量を劇的に増やして参りました。昨年も早い時期から好評を頂いたのですが、正月分を別途確保しなければならなかったため、12月中旬には品薄の状況になってしまいました。今年は昨年の2倍近くの大型サイズ中心の国産塩数の子を確保しております。今年は9月下旬より順次販売を開始しておりますので、是非とも早めにお試しいただき、国産塩数の子の素晴らしい歯応えを実感していただき、お正月の食卓のお重の中の一品として飾っていただきたいと思います。
 弊社は、美味しいお魚料理を手軽に食卓に乗せていただくことを使命としており、これからも「国産数の子」に続く魅力ある水産物の発掘を進めて参ります。

 Illustration:海岸漁場ノ屏風(鰊盛業図屏風)
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