魚を食するならシンプルがいちばん。新鮮な魚介類を目の前でさばいてもらってお刺身でいただく。これほどの贅沢ってないでしょう。でも意外にも私が生のままの魚を食べられるようになったのはここ数年、もったいないことに食わず嫌いだったのです。それまでは火を通した魚専門でした。だけどそれが幸いして(?)、魚料理のレパートリーはけっこう多いほう。なかでも「ムニエル」という小麦粉をまぶしてバターでソテーする調理法は案外手軽なわりにゴージャスな仕上がりになり私の定番レシピです。ちなみにムニエルとは「粉屋」という意味で作る人も魚も粉だらけになることからそう呼ばれるようになったとか。たしかに私が料理をはじめた十代の頃は、魚どころかキッチンまでも粉だらけになっていました。
さてそんな頃、釣り好きの友人に釣ったばかりの新鮮なニジマスを届けてもらったことがありました。なんといっても魚は鮮度が命とばかりにまだ活きのいいニジマスを三枚におろしてムニエルに。ガーリックをふんだんに効かせてこんがりと香ばしく焼き上がったニジマスのムニエルはまさに絶品、ヒラメや鯛の淡白な味もいいけれど、ちょっとクセのあるニジマスのほうが手を加える料理にはあっているかもしれない。そう思って、残りのニジマスはバジルとオレガノをたっぷり使って香草焼きに。意外とニジマスってどんな調理法にも合うみたいで、我ながら美味しくて、完食。以来、自分で釣りあげたニジマスを自分で調理するのが目標ですが、それはまだ実現していません。魚介でいえば、最近は海老が好き。殻ごと中央から背にそって切りガーリック風味にグリルした手長海老から、ロブスターのボイル、寿司屋で塩焼きにしてもらう車海老まで、とにかく海老づくしの日々です。
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